東大が来年度導入する「ギャップイヤー制度」~他大学も検討か?

ギャップイヤーは学生や若手社会人に関心が高い!

 東大は、来年度(2013年度4月入学)から新入生に対して「ギャップイヤー制度」を導入することを14日発表した。 一般の学生や若手社会人を中心に関心は極めて高く、ツイッターでのつぶやきでも確認できる。14日23:55分現在で、「Y!ニュース(時事通信)」340、「47ニュース(共同通信)」のリンク付のツイートが61、JGAPが110だった。日経電子版はツイッターの人数カウンターがないため実数がわからないが、11時すぎにどのサイトよりも早くアップされていて、見出しを「東大がギャップイヤー」と打ったアイキャッチがよかったため、このRTだけで100を超え、この情報は一気に拡散した。推定だが、記事リンク付のコメントをしたツイート(内容は歓迎コメントが多い)は、Y!ニュースの10倍あったとすると、軽く3000以上あったのではないか。それほど、関連つぶやきは多い。

 さて、まず、最近の東大を巡る関連報道を整理すると、東大は、当初の「秋入学」を後退させ、2014年度からは「春入学、秋始業、春卒業」とする構想が3週前に明らかになっていた。これにより、春に入学した新入生は、希望により秋の始業までの半年のギャップイヤー(ギャップタームと呼称)を取得できる。この期間にボランティア・インターン・国内外留学に行けるギャップイヤーとなるわけだが、ベネッセなどの調査によると、受験生の親を中心に、この一見「所属なし」「空白期間」に見える時間の評判が芳しくなく、7割の親が反対となっていた。

ギャップイヤーの概念は「空白」でなく、課外の”社会体験・就業体験”の「機会」~「日本再生戦略」にもギャップイヤーの普及・促進が記述されている

 大学が関わるギャップイヤーは「空白期間」でなく、社会体験や就業体験という「機会」であるが(上図参照)、親元や教員から離れることが多くなるため、管理者からすれば「目が届かない」不安・リスクがつきまとうのであろう。だから、東大は”懐柔策”として、英国や米国と違い、いったん大学が学生を入学生として受け入れ、「休学」という形で見聞を広げさせることにしたということだろう。

 そういう意味では、国際教養大学が導入している英国や米国での伝統的「入学前ギャップイヤー」のモデルではなく、「在学ギャップイヤー」を採用している名古屋商科大学のモデル(大学1・2年生が4-7月の4か月間「研修」として取得する)に近いといえる。英国・米国等では大学合格後、「入学延期制度」が普及していて、とりわけ名門大学が受験競争激化における解毒剤として活用している。ハーバードの場合、まずウェブサイトでギャップイヤーを推奨しているし、合格通知書の中で入学延期を選択するかどうかを検討する旨の記述がある。

 東大の計画は、30人上限の選抜制で、経費支援(最大50万円)だ。その活動計画の選抜の判断基準は、 (1) 長期性・継続性(片手間でできない本格的なもの意味) (2) 社会性・国際性 (3) 公共性・規範性 であり、ギャップイヤーの目的に合致し、極めて全うなものだと思う。 東大は明らかに米国プリンストン大のギャップイヤー制度もベンチマークしているが、ここでも「大学入学予定者」が、入学を遅らせて1年間の海外ボランティアを行うプログラム(大学が主に経費負担)になっている。

 このあたりの世界のギャップイヤーの状況と7月31日に閣議決定された「日本再生戦略」に「ギャップイヤーの普及・推進」が入ったことなどについては、以下の拙稿やJGAPの「海外ギャップイヤー事情」、そして下表をご覧いただけたらと思う。

 前述通り、東大は2014年度から「春入学、秋始業、春卒業」を目指しており、春に入学した新入生は、秋までの始業までの「半年の空白」をギャップイヤーとして選択で取得できる。あるいは、2017年度からの「全学秋入学」実施を額面通り諦めていないとすれば、入試時期は変えないので、4-8月のギャップイヤーは存在する。今回の「ギャップイヤー・プログラム」導入は受験生の親を中心とした日本社会の画一的な「空白嫌い」を治めるための、先行導入と観ることができる。つまり、成果を把握し、日本社会にオープンにして可視化したい考えがそこにはあると言える。

他大学はどうするか?!~問われる大学の再定義

 今回の東大のギャップイヤー制度導入の動きに関して、他大学はどう対応していくのだろうか。学生がギャップイヤーをやりやすくするためには、「大学入学延期制度」導入が一番早いが、日本の大学にはまだない。また、東大のような休学での「在学ギャップイヤー」のプログラムを検討するところも出てくるだろう。大学のミッションは、従来「研究と教育」だった。最近はプラスして、「国際・地域貢献」が入ってきた。本格的社会体験・就業体験を意味するギャップイヤーを「学部内」に持ち込むことは、正課でない「課外活動」の公式化だ。つまり、高等教育のホリスティックな「人材育成」の機能強化のため、正課と課外をマネージしていくかどうかという「大学の再定義」がそれぞれに突き付けられたと考えるべきであろう。

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