新入社員のジェネラリスト志向は「終身雇用の亡霊」?

日本生産性本部が実施した2013年度の新入社員の意識調査によると、会社に対して「ジェネラリストとして鍛えてくれること」を期待する人が58.4%にのぼったという。これは過去20年で最高水準だそうだ。

 

調査元ではジェネラリストについて、「いろいろな仕事や持ち場を経験し、会社全般の仕事が見渡せる人」と定義している。もうひとつの選択肢はスペシャリストで、「ひとつの仕事や持ち場を長い期間経験した専門家」だ。

 

人事部長「雇用流動化に備え、専門性を高めるべきなのに…」

過去のデータを見ると、1999年から2003年まではスペシャリスト志向が上回っていた。しかし04年からジェネラリスト志向が上昇。今年ついに過去20年間で最大だった91年のレベルに匹敵するまでになった。

 

この結果について、企業はどう捉えているのか。都内中堅メーカーの人事部長は「若者の終身雇用への強い回帰の表れかもしれない」と見ている。

 

「新入社員は、ジェネラリストの意味を深く理解できていないはず。ということは、この結果は『せっかく入った会社なのだから、その中で順調に出世していきたい』と読み替えられるのではないでしょうか」

 

会社全般の仕事をすることは、その会社の幹部として必要な経験を積むことにつながる。人事としては、会社への帰属意識が強いことは悪いことではない。しかし現実は業界の合従連衡が進み海外との競争も激しくなる中で、今後会社の姿がどうなるか極めて不透明だ。

 

「厳しい見方をすれば『このご時勢にジェネラリスト志向で大丈夫なのか』という不安もあります。雇用の流動化に備えてスペシャリスト志向を強め、会社に帰属するのではなく、自分のスキルを労働市場の中で売っていくという意識が必要です」

 

会社としても、そういう専門性を持っている社員をどこまで増やせるかが勝負になるので、自社内での出世意識が強い保守的な社員が増えることは、社内政治が重視されることにもつながるので「必ずしも歓迎できない」のだという。

 

高い目標を掲げる会社は「ブラック」なのか

終身雇用意識の高まりは、他の調査項目にもあらわれている。同じ調査の中で「今の会社に一生勤めたい」と回答した新入社員は55.5%。過去最高の前年(60.1%)をやや下回っているが、2000年の20.5%から見ると依然として高いレベルだ。

 

人事部長はさらに、最近よく聞かれる「ブラック企業批判」には、この「会社への帰属意識の高さ」が間接的にかかわっているのではないかと推測する。

 

「会社で高い目標を課せられて成果を上げられなかった人が、あきらめて転職して再チャレンジすることは以前からよくあったんです。しかし今は『会社を辞めたら終わり』と思う人が多いから、精神的に追い詰められる人が増えているような気がします」

 

人事部長が不満に思っているのは、高い目標を掲げること自体が「ブラック企業扱い」されることだそうだ。批判者から聞かれるのは、会社には「若者を温かく育てる責任がある」という主張である。

 

終身雇用はすでに終わりを迎えており、会社はそれを前提としたキャリア制度に転換しようとしている。それなのに新入社員の方は、いまだに「終身雇用の亡霊」に取り付かれて、レールから弾き出すプレッシャーをかける企業を「ブラック」と批判している。

 

人事部長はこの原因について、彼らの親世代が80年代前後の豊かな時代に働き盛りだった影響があるのではという。時代は変わり、競争や選別のない会社は存在できない。成果を厳しく求めただけでブラックと批判することは、人事部長からすれば「言いがかりだ」というわけである。これもひとつの見方というべきだろうか。

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