<ロンドン五輪>いいね?!選手つぶやきOK ツイッターやフェイスブック利用急増、IOC一転奨励

短文投稿サイト「ツイッター」や交流サイト「フェイスブック」が普及した今夏のロンドン五輪は、史上初の「ソーシャルメディア五輪」とも呼ばれる。自ら情報を発信する選手が増え、ソーシャルメディアの利用に消極的だった国際オリンピック委員会(IOC)が奨励する姿勢に転換。一方、大手テレビ局の放送権や投稿内容の規制などを巡る課題も多い。新たなコミュニケーション手段は五輪をどう変えようとしているのか。


 「ロンドンは晴天でのお出迎え。選手村なかなか快適です!」
 柔道女子48キロ級の福見友子選手(27)は23日、自身のツイッターに、選手村のベランダから撮影した写真を投稿した。早速、このつぶやきを読んだフォロワー(読者)から「頑張ってください」とエールが書き込まれた。

 選手とファンが直接交流できるソーシャルメディアは、選手にはファンの応援が励みになり、ファンにとっては選手を身近な存在に感じられる便利なツールだ。既に多くの人気選手が情報発信しており、3大会連続の2冠を目指す男子平泳ぎの北島康介選手はツイッターで8万4000人のフォロワーを持つ。

 IOCは昨夏、ソーシャルメディア利用に関するガイドラインを作成。選手たちが自分の経験をネット上に投稿することを「積極的に奨励し、支持する」とした。ただし、五輪憲章は認定したメディア以外が競技リポートなどのジャーナリズム活動をすることを禁じている。ガイドラインでは、自分のことを語る一人称の日記形式に限る▽競技のリポートや他の選手の活動に関するコメントは禁止▽会場や選手村の動画、音声の投稿は禁止--など細かい条件が定められ、悪質な場合は五輪参加資格の剥奪もありうるとしている。

 各国の五輪委員会も神経をとがらせている。日本オリンピック委員会(JOC)は、各競技の監督を集めた会議でガイドラインの内容を説明。英国サッカーチームの選手が判定に異議を唱える内容をツイッターに投稿したところ、リーグから1万ポンド(約125万円)の罰金が科せられた事例を紹介し、内容には十分注意するよう呼び掛けた。

 また、誰もが見ることができるソーシャルメディアならではの課題もある。AP通信によると、英オリンピック委員会は「ライバルが書き込みを読むかもしれないことを忘れてはいけない。フォームが悪いとか疲れたとか、書き込みを他のライバルが読めば、相手は自信をつけることになるかもしれない」と英国選手に助言した。

 ただし、どこまでの内容がガイドラインに抵触するかを判断するのは難しく、早速”グレーゾーン”のつぶやきも出ている。

 日本のある選手は自身のツイッターで、同じ部屋の選手の名前を明かし、その選手が練習に出かけていることを書き込んだ。JOCの担当者は「他者や組織に関する秘密、個人的な情報を外部に知らせるものであってはならない」とのガイドラインの規定に触れる恐れもあると懸念しつつ、「線引きは難しく、削除要請は考えていない」。JOCはネット上のチェックなどは特段行っておらず、違反かどうかの判断はIOCが行っているという。

 ◇放送権侵害、恐れ 動画投稿、観客も禁止

 「ロンドンでは誰もがソーシャルメディアを手にし、これまでと違った方法で試合に熱狂することだろう」。AP通信によると、ロンドン五輪組織委員会の報道責任者、ジャッキー・ブロック・ドイル氏はこう指摘した。

 前回の北京五輪が開かれた08年にはツイッター利用者は600万人、フェイスブックは1億人だった。だが、高速通信が可能なネット環境やスマートフォン(多機能携帯電話)の爆発的な普及を受け、今やそれぞれ1億4000万人と9億人が利用する。テレビ観戦をしながらソーシャルメディアで感想を発信するなど、新たな五輪の楽しみ方に期待が広がっている。

 IOCは人気選手のツイッターやフェイスブックに簡単にアクセスできる専用サイト「オリンピック・アスリーツ・ハブ」を開設。陸上男子100メートルで連覇を狙うウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)など人気選手が登録されている。IOCのマーク・アダムス広報部長は「世界中のファンや選手が五輪により深く関わるための、我々の努力を示すものだ」と説明する。

 だが、IOCはこれまでソーシャルメディアの活用に積極的ではなかった。84年のロサンゼルス五輪以降、大会運営を米3大ネットワークなどテレビ局からの巨額の放送権料に頼る商業化が進んだ。一昨年のバンクーバー冬季五輪とロンドン五輪を合わせた放送権料は総額で39億ドル(約3100億円)。競技場からの動画投稿などはテレビ局の放送権を侵害する可能性がある。

 動画投稿の禁止は選手だけではない。ロンドン五輪組織委員会は会場に入った観客がインターネット上で動画や音声を配信したり、公開することを禁止している。

 門奈直樹・立教大名誉教授(メディア論)は「IOCがソーシャルメディアの活用を選手に推奨しながら投稿内容に規制を設けるのは、放送権など既存の権益と使い分けたいというビジネス的な意図が見える。それでもこの流れは今後のスポーツ大会でも続いていくだろう」と話す。

 

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