企業理念の浸透と社員のパフォーマンスとの関係は?

JTBグループの人事コンサルティング会社、株式会社JTBモチベーションズ(東京都港区 代表取締役社長:市川正資)は、「企業理念の浸透と社員のパフォーマンス」に関する調査報告書をまとめました。
本調査は、企業の社会に及ぼす影響や果たすべき責任、あるべき姿が重要度を増す中、企業の存在意義といえる企業理念が社員にどのように浸透し、それが社員のパフォーマンス、及び自律性やモチベーションにどのように影響するのか、さらには企業の業績、将来性にどのようにつながるのかを明らかにし、今後の企業経営における企業理念の浸透施策の方向を決める資料を提示することを目的としています。

<調査結果の概要>

本調査は、所属する企業に企業理念があると回答した会社員(正社員、及びフルタイムで働く契約社員)618人を対象に、インターネットによるアンケート形式で行なったものです。
【1】 業績を上げている社員は、「企業理念を社外の人に説明」でき、「企業理念に沿った行動をとっている」 。
自分は業績を上げていると答えた人ほど、「自社の企業理念や行動指針の内容を、社外の人にわかりやすく説明できる」、「自社の企業理念や行動指針に沿った行動をとっている」と回答する傾向が高いことがわかりました。
企業理念を理解するというインプットだけでなく、説明する、行動するといったアウトプットができることが、業績に関係していると考えられます。

【2】 「企業理念に沿った行動を取っている」社員は、自律性が高い。
企業理念に沿った行動をとっている人ほど、「仕事上で、やってみたいことや挑戦したいことがある」、「指示された仕事であっても、自分なりに工夫をしたり独自のやり方を考えたりする」と回答しており、自律性が高いことがわかりました。

【3】 「企業理念に沿った行動をとっている」社員は、モチベーションが高く、会社の将来性を信じる。
企業理念に沿った行動をとっている人ほど、「今の仕事にモチベーション(やる気)を感じる」、「自社は、将来性のある会社だと思う」と回答しており、モチベーションが高く、会社の将来性を信じる傾向が高いことがわかりました。

【4】 「企業理念を説明できる」、一般社員は33%、部長クラスは85%。
「自社の企業理念の内容を、社外の人にわかりやすく説明できる」「自社の企業理念や行動指針に沿った行動をとっている」は、役職が低いほど、 TOP2(「あてはまる+ややあてはまる」)のスコアが低くなっていました。「企業理念を説明できる」では、TOP2(「あてはまる」+「ややあてはまる」) は一般社員は33%、部長クラスが85%で、両者に大きな開きがあることがわかりました。

【5】 企業理念の浸透に効果があるのは、「唱和」「社員研修」「プレートやポスター」
企業理念や行動指針を理解したり覚えたりするために、”効果”がある施策を聞いたところ、「企業理念に沿った行動をとっている人」は、「朝礼や会議などで唱和」(44%)と、「社員研修」(43%)をほぼ同列でトップに挙げました。

【6】 企業理念に沿った行動をとるためには、上司、同僚や先輩が企業理念を大切にすることが重要。
企業理念に沿った行動をとっている人ほど、「直属の上司は、自社の企業理念や行動指針を大切にしている」、「同僚や先輩社員は、自社の企業理念や行動指針を大切にしている」と回答する傾向が高いことがわかりました。

【7】 企業理念が浸透する会社は、「個人の意見」を取り入れ、「社会貢献」している。
企業理念に沿った行動をとっている人ほど、「自分の意見が職場や組織の運営に反映されている」、「自社は、社会に貢献する仕事をしたり、取り組みをしたりしている」と回答する傾向が高いことがわかりました。

【まとめと提言】

企業理念をアウトプットできる環境の要件として、会社、社員、社会が互いに影響を及ぼし、好循環が成立していることが挙げられます。
会社は企業理念を社員に発信し、また社員の意見を取り入れています。社員は、企業理念を社外の人にもわかりやすく説明でき、企業理念に沿った行動を取ることで社会にも会社にも貢献します。会社は社会に貢献し、社会からその存在を受け入れられるという3者の好循環です。
企業理念をアウトプットできる社員が育成されれば、モチベーション、自律性、会社の将来性の確信が高まり、またパフォーマンスが高まります。

1.企業理念のアウトプットができる社員の育成

(1) 企業理念をアウトプットできるスキルを習得する
企業理念の浸透に関して、業績の高さと相関があったのは、「企業理念の内容を、社外の人にわかりやすく説明できる」「企業理念に沿った行動をとっている」という項目でした。企業理念を理解するだけでなく、説明したり、行動に移したりできる、というアウトプットができる状態を作ることが、業績を上げる社員を育成するポイントだといえます。
企業理念の背景や意味することの解釈を深め、さらに具体的な行動がどのようなもので、どのようなタイミングで誰に向かって起こせばいいのかを理解し、行動へのモチベーションを高める研修などのプログラムが必要です。

(2) 企業理念の「内面化」により自律性とモチベーションをさらに高める
企業理念に沿った行動をとっている人ほど、「仕事上で、やってみたいことや挑戦したいことがある」などの自律性が高く、モチベーションも高いことがわかりました。企業理念を浸透させる際、社員一人一人がいかに「自分なり」に理解し、実行するかをサポートすることが大切です。それぞれの仕事場面にあてはめて考える、具体的な顧客や相手先を想定して、「自分だったらどうするか」を考えるなど、企業理念を「内面化」するプロセスが必要です。

(3) 企業の将来と個人のキャリアの整合、共栄を実現する
企業理念に沿った行動をとっている人ほど、会社の将来性を肯定的に見ていることがわかりました。会社の将来像と自身のキャリアが整合され、両者が互いによい影響を及ぼしあい、共栄する具体的な姿が認識できる研修プログラムなどが有効といえます。

2.企業理念をアウトプットできる職場作り

(4) 一人一人の意見の尊重
「自分の意見が職場や組織の運営に反映されている」という認識が企業理念のアウトプットと関係していました。そのような職場風土をつくるためには、第一に、上司のマネジメントが、一人一人の意見を尊重するものであること、第二に、組織として意見を吸い上げる仕組みがあることが重要といえます。

(5) 社会貢献の実行と実感
社会に貢献する仕事であるという実感と会社の社会貢献の取り組みが、企業理念のアウトプットに関係していました。一人一人の社員が、自分の仕事が社会にどのように貢献しているかを考え、実感できる取り組みが有用といえます。また、会社とし、社会貢献の取り組みを検討することも企業理念浸透の一助となると考えられます。

(6) 社員同士での企業理念の共有
企業理念に沿った行動をとっている人ほど、「直属の上司、同僚・先輩社員は、企業理念を大切にしている」と感じる傾向がありました。社員同士で企業理念の理解、共感、日々感じる思いなどを共有することが、企業理念の行動化につながります。

■企業理念をアウトプットする社員育成のためのチェックリスト

1.会社の企業理念や行動指針を朝礼などで唱和している。
2.会社の企業理念や行動指針が、職場のみなの目に触れるところに掲げられている。
3.社長が、スピーチや講話などで、企業理念や行動指針についてよく話をする。
4.企業理念や行動指針について学ぶ研修を実施している。
5.管理職は、企業理念や行動指針を大切にしている。
6.管理職は、社員一人一人の意見をよく聞き、尊重している。
7.社員の意見が、組織の運営に活かされる制度や仕組みがある。
8.社員が充実したキャリアを築くための研修を実施している。
9.社員が自分の仕事の意義について考えるための、研修などの機会がある。
10.会社として、社会に貢献する取り組みをしている

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