タレント獲得競争を勝ち抜く―タレント・マネジメント、日本オラクルの取り組み

■ タレント獲得競争に対するタレント・マネジメント・システム

日本オラクルのアプリケーション事業統括本部CRM/HCM事業本部本部長の道下和良氏

タレント・マネジメント・システムとは、従来の人事/給与システムが定型人事業務や人事申請サービスなどをシステム化するものだったのに対し、人材の能力や成長性に注目し人材育成やスキル管理、人材シミュレーションなどを行うもの。

米国では「タレント獲得競争」として、人材の採用や定着が大きな注目を集めた1990年代からシステムとして登場していたが、日本では、ここ1、2年に市場が急速に拡大。経営陣や人事担当者などから大きな注目を集め始めてきた。

日本でも市場が盛り上がりを見せてきた理由について、日本オラクルのアプリケーション事業統括本部CRM/HCM事業本部ソリューション部担当ディレクターの浅井三雄氏はグローバル化と団塊の世代の一斉退職の2つの影響が大きいと指摘する。

「団塊の世代が人口比で大きな比率を占めており、その技術継承や人材確保の重要性は主要国はどこも変わらず注目していること。米国ではその影響が早期から指摘されてきたことで、HCM(ヒューマン・キャピタル・マネジメント)やタレント・マネジメントという考え方が出てきた。

 

■ スピードを持って優秀な人材を動かす必要性

日本オラクルのアプリケーション事業統括本部CRM/HCM事業本部ソリューション部担当ディレクターの浅井三雄氏

日本でも実際に直面し技術の伝承や後継者の育成などが大きな問題となってきている。またグローバル化に伴い、成長する新興国の新規拠点設立や海外M&Aなど、スピードを持って優秀な人材を動かす必要が出てきた。これらからよりいい人材を効率的に獲得し定着させるか、ということに注目が集まっている」(浅井氏)

これらの背景からタレント・マネジメント・システムの受注は日本企業からも急速に成長。日本オラクルの案件数も「一昨年から昨年にかけて倍増し、さらに今年は昨年の倍増ペースで増え続けている」と浅井氏は話す。

市場が成長するなか、日本オラクルはタレント・マネジメントとして豊富な製品群を揃えていることが特徴だ。

従来から展開するERPの一環としての「Oracle EBS HCM」に加えて、2005年に買収したPeopleSoftの「PeopleSoftHCM」、次世代業務アプリケーションの一つとして展開している「FUSION HCM」の3つを展開(関連記事)。さらにこれに加えて6月に買収を発表した「Taleo」(関連記事)や9月に買収を発表した「SelectMinds」(関連記事)などが加わり、カバー範囲はさらに広がる。

「ニーズや条件などを見据えつつ様々な製品を用意し、サービスを実現できるところがOracleの強み。どの製品を採用しても同様のサービスを実現できる。すでにグローバルで1400社以上が導入しており管理者数は4000万人を超えている。日本ならではの状況にも対応できる一方、グローバル企業の成功事例なども活用できる」(浅井氏)

 

■ SaaSもオンプレミスもそれぞれの強みを発揮

Oracle EBS HRMSのイメージ画面。ERPの一環として経営情報との連携を取りやすい点やカスタマイズが可能な点が特徴だ

各製品は、経営統合基盤としてBIなどと連携させ経営情報と組み合わせた活用が容易な「Oracle EBS HRMS」に対し、人材管理に特化しキメ細かい実務プロセスや日本の人事慣習などに応える「PeopleSoft HCM」、SaaS対応でモバイル対応やソーシャル機能など次世代に向けた先進的な機能を備えた「Fusion HCM」という位置づけで提案を進めている。

「SaaSだと手軽で早いメリットはあるが拡張性がない。オンプレミスでは初期の負担は大きいが拡張やカスタマイズが可能である点が利点。ただオンプレミスでもベスト・プラクティスを利用することで導入の短縮化が進んでいる。どれを選んでも一定のタレント・マネジメントは可能。そのうえで自社に最適なものを選ぶことができるのがOracleの強み」と浅井氏は話す。

Fusion HCMのイメージ画面。動的レビューのほか、ソーシャルやモバイル対応など先進的な機能がもりこまれていることが特徴

既存のサービスに対し次世代型を標榜する「Fusion HCM」は、ソーシャル・テクノロジーを利用でき、企業内で人事が活用するだけでなく従業員同士のコミュニケーションできるメリットを生み出すことができる。また人材のポートフォリオ分析なども動的に経歴や評価の推移を閲覧できるような、先進的な機能を備えていることが特徴だという。

「FusionはHCMに収まらず様々新たな機能が搭載されているのが魅力だ。ただ、案件としてはどれから開始してもタレント・マネジメントの機能は得られ、またデータの移行なども簡単に行える。最適なサービスを試用しながら必要なものに移行することも可能だ。Fusionはサービスを開始したばかりだが、EBS HRMSもPeopleSoft HCMもほぼ同じクラスの受注状況。既存のERPなどでのユーザーに加え、タレント・マネジメントによる新たな顧客層なども広がってきている」(浅井氏)

 

■ TaleoやSelectMindsなど新サービスも拡充

PeopleSoft HMSのイメージ画面。人事管理に特化しており日本の人事慣習に合わせたキメ細かさが特徴だ

今後は、「HCMの領域で機能強化を進めていく一方で、隣接領域との連携を強化していく。HRMとCRMの連携などを進めていく。グローバル化が進むなか、営業組織において、営業組織のトップが人材管理をするようなことも求められてきている。今後は人事以外の部分でも活用が進むだろう」と日本オラクルのアプリケーション事業統括本部CRM/HCM事業本部本部長の道下和良氏は話す。

既存のラインアップに加え「Taleo」や「SelectMinds」もラインアップに加わってくることから、さらに豊富なソリューションを提供し、ユーザー・ニーズに応えた人材活性化を進めていく方針だ。

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