改正労働契約法の政省令が明らかに 有期労働契約の労務管理のポイント

パートタイマー、派遣社員、契約社員など、有期労働契約で働く人は全国で1,200万人(全就業者の約2割)ほどいて、近年、徐々に増加してきています。有期労働契約とは、6カ月、1年など期間の定めのある労働契約のことをいいますが、企業の経営が悪化すれば、雇用調整の手段として雇止めされることが多いことから、不安定な雇用であるとして問題になっているのです。

 

そこで、労働契約に関する基本的なルールを定めた「労働契約法」が改正され、有期労働契約に関するルールが大きく変わることになりました。今回は、政省令で示された改正内容の詳細、その他の有期労働契約のルールを確認していきましょう。

 

有期労働契約の基本ルール

はじめに、有期労働契約の基本的なルールを確認しましょう。

 

1回の労働契約期間の上限

 労働基準法により、1回の有期労働契約の上限は原則3年と定められています。有期労働契約は、天災事変などやむを得ない理由がなければ一方的に解除することはできません※。そのため、長期に及ぶ契約は労働者の自由を不当に奪う恐れがあるからです。ただし、①高度の専門的知識を有する者、②60歳以上の労働者、③一定の事業の完了に必要な期間については、特例として3年を超えて契約することができます(①②は5年まで、③は事業の完了に必要な期間)

1年を超える有期契約(③を除く)を締結した場合、1年を経過する日以後は、労働者からであれば、いつでも解除することができます。

 

■契約締結時の労働条件の明示

 労働基準法では、労働契約を締結する際、「就業場所」「従事する業務」などにより明示すべき事項が定められています。労働契約法の改正に伴い労働基準法施行規則が改正され、文書による明示事項に、有期労働契約の場合の「契約の更新基準」が追加されました(平成25年4月1日施行)。

 

■雇止めの予告、理由の明示

 有期労働契約が、①3回以上更新されたか、②1年を超える場合は、契約更新しないとき、少なくとも契約終了の30日前までに、その旨の予告をしなければなりません。

 

■その他に特別扱いが多い

 その他、健康保険・厚生年金が2カ月以内の有期雇用では適用されないことなど、有期労働契約の労働者を雇用する場合に、一般の労働者と異なる取り扱いをする場合が多くあります。

 

有期労働契約の新しいルール

 平成24810日に公布された改正労働契約法では、次の3つのルールが新たに設けられました。施行日は、②が平成24810日(公布日)、①③が平成2541日です。

 ①無期労働契約への転換

 ②「雇止め法理」の法定化

 ③不合理な労働条件の禁止

 では、順に見ていきましょう。

 

  無期労働働契約への転換

同一の使用者との間で、有期労働契約を5年を超えて反復更新した労働者が申し込みをしたときは、無期労働契約に転換されることになりました。なお、5年を超えるかどうかのカウントは、このルールの施行日以後に開始・更新する有期労働契約からが対象です。

 

Q いつ申し込むのか

無期転換の申し込みは、そのときの有期契約の満了日が通算5年を超える場合に、その契約期間の初日から末日までの間にすることができます。ちょうど5年を超える有期労働契約の期間中に申し込みをしなくても、有期契約を更新した場合、それ以降の契約期間中に申し込むこともできます。申込みは、口頭であっても有効ですが、後で申し込みの有無で争いにならないよう書面を残しておくとよいでしょう。なお、無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることは、法律の趣旨から無効と解されています。

 

Q いつから転換されるのか

労働者が無期転換の申し込みをすると、使用者が申込みを承諾したものとみなされ、そのまま無期労働契約が成立します。無期労働契約に転換されるのは、申し込みをしたときの有期労働契約が終了した日の翌日からです。

 

Q 無期労働契約の労働条件の内容は

無期労働契約の職務、勤務地、賃金、労働時間などの労働条件は、原則として、転換前の有期労側契約と同じです。ただし、労働協約、就業規則、個々の労働契約などに別の定めをすることにより変更することができます。別の定めとは、たとえば、「定年制を適用する」「勤務シフト(所定労働日、始業終業時刻など)の定期的変更」などを定めることは行政の資料でも差し支えないとされています。しかし、職務の内容などが変わらないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、法律の主旨に反し望ましいものではないとされています。

 

Q クーリングとは

 複数の有期労働契約の間に、空白期間(同一使用者の下で働いていない期間)が6カ月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は5年のカウントに含めません。これを「クーリング」といいます。なお、1年未満の契約期間がある場合は、その契約期間の1/2以上の空白期間があれば、クーリング以前の有期労働契約は5年のカウントに含めません。

 

②「雇止め法理」の法定化

 有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了によって雇用関係が終了します(これを「雇止め」といいます)。ただし、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により、一定の場合は雇止めを無効とする判例上のルールが確立しています。これを「雇止め法理」といいます。今回の法改正では、この判例法理が労働契約法に明文化されました。

 

 

③合理な労働条件の禁止

同一の使用者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するルールです。たとえば、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて、有期契約の労働者であることをもって、労働条件を相違させることは、特に理由がなければ認められません。

 

 

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