人口減少時代を勝ち抜く、多様な人材活用セミナー(2016/2/24開催)

企業を取り巻く採用環境


少子高齢化・人口減少社会によって、急速な労働人口の減少が深刻化している。戦後、人口増加を続けてきた日本がはじめて迎える局面。2020年の東京オリンピックに向けて企業の採用意欲は高まり、採用競争は更に厳しさを増す見込みだ。


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デルタマーケティングは2月24日、原正紀氏(株式会社クオリティ・オブ・ライフ代表)を講師に迎えて「人口減少時代を勝ち抜く、多様な人材活用セミナー」を開催した。これまでに2000名を超える経営者と面談、産学官で人材施策の提案を行ってきた原氏。セミナーでは、企業が採用競争に勝ち抜くための戦略と、多様な人材を採用・戦力化するダイバーシティ経営の進めかたについて、ヒントが語られた。


新卒採用のポイント

そもそも「近年、急速に採用が難しくなったと考えることは間違い」だと、原氏は話す。
2000年代をピークに総人口・労働人口ともに減少を始め、2009年には採用しづらい状況が生じていたという。しかし、リーマンショックや東日本大震災の発生によって企業が採用を抑制したため、顕著化しなかったのだ。その間も労働人口の減少は進み、企業の採用意欲の高まりとともに表面化したのが現在の採用難だという。


また新卒採用では、学生が職業選びで重視する事柄が大きく変わってきている。90年代は企業の知名度・成長性など「組織軸」で選ぶ学生がほとんどだったが、近年は仕事のやりがいや自己成長など「自分軸」で選ぶ傾向にある。組織軸を重視してきた採用方法では学生にアピールすることが難しく、インターンシップなど、体験型の採用が増えているという。


更に近年、注目を集めている採用方法が「ダイレクト・リクルーティング」だ。求人広告を掲載して求職者を“待つ”従来の採用方法に対して、人材データベースやSNSなどを利用し、企業自らが候補者を探してスカウトする。謂わば“攻めの採用”だ。従来に比べて企業が能動的に動く必要があるものの、求める人材を効率的に確保することができる。また「工夫次第では、採用予算で劣る中小企業が大手企業と互角に勝負することができる」と、原氏は言う。


ダイレクト・リクルーティングの効果を最大限発揮するためには、採用したいターゲットに合せたコンテンツ(魅力)の抽出と、その発信方法を選択する必要がある。コンテンツは企業規模や待遇などの場合もあるが、中小企業が大手企業を上まわることは難しいだろう。それよりも、経営者や社員で魅力的な人物をクローズアップしたり、ユニークな制度で対抗する方法が効果的だ。アイデア次第でコストを掛けず、他社との差別化を図ることができる。


そして新卒採用の場合、情報の発信には自社採用ページが有効だ。仕事のやりがいや自己成長など、自社の魅力を伝えるコンテンツを盛り込むことはもちろん、疑問・懸念を払拭できる内容になっていることが望ましい。また、求人メディアにも掲載して自社採用ページに誘導したり、説明会でさらに詳細な情報を提供するなど、従来の採用方法と連動させることで、相乗効果を生むこともできる。原氏は「狙ったターゲットに向けて、適切な方法で仕掛けていくことで採用を成功させることができます」と話した。



ダイバーシティ採用戦略

しかし、「このまま新卒一括採用に頼り続けることは危険」だと原氏は続ける。
少子高齢化・人口減少に伴い、新卒者も今後ますます減っていく。更に厳しさを増す採用難に有効な手立てが「ダイバーシティ採用」だ。シニアや主婦、外国人など、今まで労働人口に含まれていなかった層を取り込み、人材不足を補おうというのだ。また、単なる数合わせではなく、異なる経験・背景を持つ人材を採用することで多様な意見・アイデアが生まれ、組織の強化にも繋がるという。ただし、そのためには「個人の持ち味を生かすことができる体制づくり」が欠かせないと原氏は話す。


たとえばシニア層なら、経験・スキルを発揮し即戦力として活躍することが可能だ。教育・マネジメントのコストをカットできる他、嘱託や業務委託、顧問など、活躍のステージに合せて雇用形態も柔軟に対応することができる。日本のシニア層は他の先進各国に比べて就労意欲が高く、企業とシニア人材のニーズがマッチすれば、大きな戦力になり得るという。


また近年、注目を集めているのが主婦層の雇用だ。日本では結婚・出産を期に離職、復帰を断念する女性が他の先進各国に比べて多い。復職を躊躇する理由は主に、キャリアブランクによる知識・スキルへの不安だ。ただ徐々に改善傾向にあり、最近では国の政策などもあって企業の女性採用は活発だ。今後は待遇や制度に留まらず、より踏み込んで女性が働きやすい職場づくりに取り組む必要があるという。


そして見逃せないのが外国人留学生だ。実は留学生の約6割が卒業後、日本での就職を希望している。ところが実際に就職できているのは希望者の内、半数にも満たない。ただ、日本企業に採用意欲がないわけではない。むしろ、従来の海外展開のブリッジ要因に留まらず、国籍に関係なく優秀な人材を採用と考えている企業は増えている。外国人留学生の採用を難しくしている大きな要因が採用方法だ。日本人と同じ採用プロセスしか設けていないため、SPIなど日本語力が求められる選考で不採用になってしまうのだ。外国人の採用を真剣に考えるのであれば、採用プロセスの見直しが課題だと原氏はアドバイスした。



ブロック塀組織から石垣組織へ

今後、企業が勝ち抜いていくためには同質組織である「ブロック塀組織」ではなく、多様組織の「石垣組織」を目指す必要があると原氏は語る。多様な石が組み合わさった石垣が容易に壊れないのと同様に、企業も多様な人材が集まることで強い、対応力のある組織をつくることができるという。

最後に原氏は「従来の日本の社会システムでは、これからますます進展する少子高齢化・人口減少社会に対応することができません。人材ビジネスを筆頭に、新しいシステムの構築が求められています。ぜひ、多様な人材がイキイキと活躍し、企業の成長・充実が実現する新しい企業経営モデルの構築に取り組んでください」とメッセージを送った。


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