人材の見える化で組織力を高める

 NECは今年2月22日、人材マネジメントによる企業力強化をテーマとしたセミナーを開催、同社サービス事業本部の辻 賢一氏が戦略的な人材活用の実現に向けたポイントとNEC自身が取り組んでいる事例を紹介した。果たして、企業/組織を強くする人材マネジメントの手法とは、どのようなものなのか――辻氏の話から、そのエッセンスを導出する。

人事管理から人材マネジメントへ

 近年、人材マネジメント、あるいはタレント・マネジメントという言葉をよく耳にするようになった。これらの言葉が意味するところは、個々の従業員の目標管理やパフォーマンス管理、キャリア管理、さらには後継者管理などを統合的、かつ効率的に行い、戦略性を持った人材活用を支援するというものだ。

 NECグループでは、2010年からグローバルにおける幹部/プロフェッショナル人材の見える化と育成力強化を目指し、国内外の拠点に米国SuccessFactors社(以下、SuccessFactors)のグローバル人材マネジメント・サービス(クラウド型サービス)を導入し、組織力強化に役立ててきた。また、翌年4月にはSuccessFactorsとの提携により、同社のサービスにNECの付加価値をプラスした「Cultiiva Global/HM」の提供を開始している。

 「これまでの人事戦略は、人事や給与、勤怠管理といった一般的な『人事業務』と、教育/研修/OJTなどの『人材育成』の2つから構成され、システムもオンプレミス型の旧態依然としたものがほとんどだった」と、NECのサービス事業本部 グローバルサービス部マネジャー、辻 賢一氏は語り、こう続ける。

 「しかし近年、グローバル化のうねりの中で国内外の企業間競争が厳しさを増し、組織力強化が重要な経営命題として改めて浮上してきた。それに伴い、人事業務の守備範囲は拡大し、これまで主に紙ベースで処理されてきた社員の基本情報管理や目標管理、キャリア開発、後継者管理といった業務の一層の効率化が強く求められている」

 このような変化の帰結としてニーズが高まっているもの――それが人材の見える化と、それによる人材配置の最適化、さらには個々の能力アップを実現する人材マネジメントのソリューションである。そして、Cultiiva Global/HMは、まさにこのニーズを満たすためのITサービスとして展開されているのだ。

世界約4,000社の導入実績

 Cultiiva Global/HMのベースであるSuccessFactorsのサービスは、世界約4,000社への導入実績を有する人材マネジメントの仕組みだ。Cultiiva Global/HMでは、このサービスに「導入/運用管理/サポート」といったNECの付加価値がプラスされたかたちで提供される。

 「Cultiiva Global/HMは、企業の成長戦略に合致した人事戦略の策定/遂行を迅速かつ効果的に支援するためのクラウド・サービスだ。クラウドならではの特徴として短期導入が可能な点や、システム運用管理/保守といった作業が不要になる点が挙げられる。加えて、企業の課題やニーズに応じて導入する機能を自由に選べる柔軟性や簡便な操作性を備えているほか、厳格な監査/統制基準を満たしており、サービスの安全性と信頼性もしっかりと担保されている」と辻氏は言う。

 ちなみに、ある経営コンサルティング・ファームがSuccessFactorsの顧客企業520社を対象に調査を行ったところ、人材マネジメント・サービスの導入によって「生産性が最大5.4%向上」し、「離職率が最大25%低下」、また「社内の人材充足率が最大49.7%拡大」していることが判明したという。さらに、これらの結果として、総売上げの1%分の純利益の向上が見られているもようだ。

ビジネス・リーダーや専門家をグローバルで育成

 先にも触れたとおり、Cultiiva Global/HMは、NECの人材戦略を支える柱としても機能している。同社では、グローバルに事業を牽引するリーダーの発掘/評価/配置/育成と、海外現地法人におけるプロフェッショナル人材の育成/強化という2つの領域においてCultiiva Global/HMの仕組みを導入している。

 この人材マネジメントの取り組みの中で、NECが具体的に活用している機能モジュールは「後継者管理」と「社員プロファイル」、「パフォーマンス管理」、および「キャリア開発」の4つ。同社では、これらのモジュールをフルに活用しながら、グローバル人材の見える化を実践し、グローバル事業を推進する人材の底上げに力を注いでいるという。

 また、Cultiiva Global/HMの導入に際し、NECではトップ・レベルでの合意の後、プロジェクト始動から現地メンバーの割り当て、3回のワーキング・セッション、現地社員への説明会などを行った。さらにスキル・アセスメントの実施とフィードバック・セッションを含め、全体として半年未満という短期間で導入を完了したということだ。

 辻氏は語る。

 「Cultiiva Global/HMの導入で、一般従業員は自身に求められる人材要件と現状のスキル・レベルを比較することが可能となり、管理者は部下のキャリア開発の明確化やスキル・レベルの定量化を実現することができる。また、人事部門は、従業員の育成計画を策定したり、それぞれの育成状況を把握したりすることが容易になる。そして経営サイドには、国や地域を越えた人材の見える化と適材適所の配置が可能になるという大きなメリットがもたらされるのだ」

 今後、NECでは、Cultiiva Global/HMの適用範囲の拡大や重点ビジネス・テーマへの展開、人材活用の促進、評価/認定制度の連動、グローバルでの共通の教育体制の整備などを目指していくという。

 こうした自らの取り組みを通じたノウハウと品質の高いサービスを融合させたNECのCultiiva Global/HM――このクラウド・サービスが、日本企業の人材戦略をあり方を大きく発展させる可能性は高い。

COMPUTERWORLD


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