女性と高齢者の活用が「ダイバーシティ・マネジメント」なのか

 日本にも「ダイバーシティ・マネジメント」という言葉が定着しつつある。経営において、人種や性別、年齢など社員一人ひとりの個性を活かした多様な働き方を認め、組織を強くしようという考え方だ。

 米国では80年代から90年代にかけて、多くの企業が性別や人種などのダイバーシティ(多様性)を高める取り組みを行なってきた。背景には60年代から続いてきた黒人開放運動、女性解放運動の流れがある。

 当初は有色人種や女性たちからの差別訴訟リスクへの備えや法令遵守が主な目的であったが、90年代以降は多様な人材を活用して、グローバル社会に対する柔軟性を高めることが目的になっている。社員の属性を生かした多様な働き方を認めた方が業績アップにつながることに、多くの企業が気づき始めたのだ。

 一方、日本では言葉の普及とは裏腹に、ダイバーシティ・マネジメントが企業の人材戦略として定着しているとは言いがたい。gooアンケートによる調査では9割以上の企業で何らかの取り組みを行っているが、その内容は「出産・育児休暇制度」が最も多く73.1%、次いで「介護休暇制度(60%)」、「再雇用制度(59.5%)」となっている。注目すべきは「高齢者の雇用」以外の全ての取り組みで外資系企業が日系企業を上回っており、特に「女性の管理職登用」、「フレックスタイム制度」では3割程度の差が見られることだ。

 ダイバーシティ・マネジメントとは本来、性別や年齢だけでなく、在宅勤務や地域限定社員、派遣やパートなど様々な働き方をする社員の、一人ひとりの能力を最大限に活かすことが目的である。育休制度の充実で女性社員を繋ぎ止めたり、高齢者を再雇用したりするだけで、本当に組織が強くなるのだろうか。

 本来の「ダイバーシティ」とは、全ての社員の働き方の多様性をも含む概念である。中心となる男性正社員の多くが長時間労働を強いられている状況は変わらないまま、女性と高齢者の活用だけを進めても「ダイバーシティ・マネジメントに成功した」とはいえないのではないだろうか。

財経新聞

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