高年齢者の雇用・就業対策の現状と課題とは?

「生涯現役社会」を実現するためには、企業における65歳までの継続雇用を基本としつつ、多様な形態で高年齢者が雇用され、又は就業できる機会の創出や確保を図っていくことが不可欠との認識から、厚生労働省の「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会」が5月にまとめる報告書の原案が明らかになりました。

 

◆継続雇用に対応した人事処遇制度等の見直しの状況

定年前後の賃金の増減をみてみると、企業規模が大きいほど、定年前と比較した継続雇用時の賃金の減少幅が大きく、継続雇用による賃金の調整が行われていることがうかがわれる。また、平成24年の高年齢者雇用安定法改正に対応してどのような社内の組織や人事処遇制度等の変更等が行われたかをみてみると、賃金制度について変更等をしたとする企業が11.3%、変更等を検討している企業が20.7%となっており、その他、人事評価制度の変更等を検討している企業が16.0%など、さまざまな観点から人事処遇制度等の調整を図る企業がみられる。

 

◆継続雇用の対象とならなかった労働者への対応

65歳までの継続雇用は着実に定着しつつあるが、「継続雇用を希望しなかった定年退職者」(18.3%)や、高年齢者雇用安定法の経過措置などにより「継続雇用を希望しながら継続雇用されなかった者」(0.3%)も存在しており、これらの者の雇用機会の確保のあり方について検討する必要がある。また非正規労働者であって定年制度の対象とならない者は、雇用確保措置の対象とならないため、これらの者の雇用機会確保についても検討が必要である。

 

◆65歳以降の雇用

65歳以降の雇用のうち「継続雇用」についてみると、「継続雇用者が65歳以降も勤務できる」企業は68.7%となっているが、そのうちの71.2%が「会社が本人に個別に要請したとき」に限定している。また、定年がないなどで希望者全員が70歳以上まで雇用されうる制度のある企業は、企業規模301人以上で1.7%、31~300人規模で8.1%にとどまっている。また、65歳より先の雇用確保措置を実施も検討もしていない企業に対してその理由を尋ねてみると、48.5%の企業が「65歳までの対応で精一杯であり、65歳から先の雇用は差し迫った課題ではないと考えるから」としている。

 

一方、65歳以降の雇用のうち「65歳以上の高年齢者の雇入れ」については、「転職入職者」(平成12年に比べて平成24年に3.07倍)からみても、「ハローワークにおける就職件数」(平成17年度に比べて平成25年度に2.60倍)からみても、近年大幅に増加している。65歳以上の高年齢者を雇入れた企業に対して支給される「高年齢者雇用開発特別奨励金」の支給実績(平成21年に比べて平成25年度に7.2 倍)についても大幅な伸びが見られる。

 

しかしながら、65歳以上の高年齢者の再就職活動は他の年齢層に比べて厳しい状況にあり、例えば、前職の離職から再就職までの期間が6カ月以上であったとする者は、年齢計では17.2%であるが、65~69歳では34.2%と約2倍になっている。

今後、健康寿命の延伸に従って健康で働ける高年齢者も増加が見込まれ、これらの者に対する雇用就業機会の確保が大きな課題となる。確保可能な雇用・就業機会のボリュームを考えると、企業による雇用の拡充によって生み出される雇用機会にも大きな期待が寄せられるところであり、65歳以降の継続雇用や65歳以上の高年齢者の雇入れの拡大に取り組む企業に対する支援策の充実が必要である。

 

◆企業に対する支援の手法

企業が継続雇用を推進し、新たな高年齢者の雇用を拡大するためには、例えば、中高年従業員のための仕事や管理職などのポストの不足、生産性の低下など、人事管理上の課題が大変大きな問題として横たわっている。このため、例えば長く勤務できるような専門職などのポストのあり方を検討するなど、今後、人事管理施策の研究・検討に相当力を入れていく必要がある。

高年齢者の雇用の拡大に向け企業の人事管理施策の改善を促進するためには、様々な財政支援を行うことが一つのインセンティブとして重要であるが、そればかりでなく、役に立つ情報の提供や、様々なロールモデルを示していくことも重要である。例えば、生涯現役の仕組みになっている企業は、グローバルニッチトップのような比較的競争力がある地方の企業に多く見られるが、そうした企業の情報を提供し、そのあり方に学ぶという方法も考えられる。

また、企業に対する支援策は、これまでも企業規模に応じて行われることはあったが、高年齢者雇用の状況は業種別に様相が異なる面もあることから、業種別に対応することや、個別企業の特性に応じた対応をしていくことも考えられる。さらに中小企業では高年齢労働者が多い傾向があるが、それが新卒採用で若年者を採用できないことによるのか、中高年齢者を積極的に雇い入れたり継続雇用していることによるのかによって、企業への支援策も変わってくる。

第5回生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会(資料)

 

 

65歳以上の高齢者について、雇用した企業への助成の拡充や、雇用保険の適用拡大などが柱で、5月中に報告書をまとめ、政府の成長戦略に反映される見通しです。現在、ハローワークを通じて65歳以上を雇用した企業は最初の年に最大90万円の助成金が支給されるが、原案は支援の充実を求めており、助成金の拡充や継続して65歳以降も雇用した企業を助成の対象とする案なども浮上。雇用保険が65歳未満にしか適用されないことが、高齢者の就労を阻害しているとの指摘があることから、65歳以上への保険適用も検討されますが、企業側には負担となるため、慎重論もある状況です。

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