「残業時間を把握する意思がない」 営業手当を固定残業代と認めず

アルバイトを管理していた元従業員の未払賃金請求事件について、東京地裁が昨年4月に判決を下し、「元従業員は管理監督者」「営業手当は固定残業代」という会社の主張をいずれも否定しました。

不動産会社に勤務していた元従業員は、テレホンアポイント業務に従事するアルバイトを管理していましたが、懲戒解雇されたことを機に、未払賃金や割増賃金などの支払いを求めて会社側と争いになりました。裁判では、元従業員の管理監督者性と営業手当の固定残業代性が主な争点となっています。

 

◆部門運営の裁量権ない

時間外・休日労働が割増賃金の対象とならない労働基準法の「管理監督者」といえるかどうかは、

1)経営者と一体的な立場にあること(重要な組織を経営者に代わって管理するなど)、

2)労働時間について厳格な制限を受けない

3)その地位にふさわしい待遇

などが要件となります。

判決によると、元従業員はマネージャー会議に出席しテレホンアポイント部の業務報告もおこなっていましたが、部の運営を自身の決裁でおこなっていたとまではいえず、労働時間も会社から指示を受けていたことなどから、管理監督者とは認められませんでした。

 

 

◆時間管理の意思がない

また、会社の賃金規程によると、営業手当は時間外労働の割増賃金で「月30時間分相当として支給する」と定められていました。これについて判決では、会社の管理する先従業員の労働時間は実態を反映したものでないことから、月30時間を超える時間外労働の有無や超えた時間数を把握する意思もなく、月30時間を超えた時間外労働に対する割増賃金を支払う意思もないと判断しています。

 

また、この会社では、営業成績に応じて営業手当を減給する定めがあったことから固定残業代とは相容れないとして、営業手当が月30時間分の時間外手当であると認められませんでした。このように、営業手当が固定残業代ではないと判断された場合、営業手当も残業代計算の基礎に含めることになり、残業代単価が大幅にアップするため、未払い賃金額がさらに大きな額になるのです。


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